ぐるり車で味な旅道北道東編で未知の北海道へ。絶景と美食を巡る至高のドライブガイド。最果ての地で出会う至福の味覚と圧倒的な大自然の記録。孤独を愛し自由を謳歌する大人のための、魂を揺さぶる感動の旅路を今。

地図を開き、まだ見ぬ北の地平に想いを馳せる。そこには、日常の喧騒を遠く離れた、静寂と躍動が共存する聖域が広がっています。『ぐるり車で味な旅 道北・道東編』は、北海道という広大な大地の中でも、特に峻烈な美しさを放つ北と東のエリアに焦点を当てた、旅人の魂を激しく揺さぶる一冊です。車という自由な翼を手に入れ、風の声に耳を澄ませながら、大地に深く根ざした「味」を求める旅。それは、自分自身を取り戻すための巡礼のようでもあります。
ページをめくるたびに、私は鼻腔をくすぐる潮風の香りと、冷涼な大気の感触を肌に感じずにはいられませんでした。道北の荒々しくも気高い海岸線、道東の神秘的な湖沼と果てしない平原。本書が描き出すのは、単なる観光地の羅列ではありません。その土地の歴史や風土が生み出した、唯一無二の食の物語です。最果ての港町で出会う、命の輝きを宿した海鮮の滋味。広大な原野で育まれた、大地の力強さを感じる農産物。それら一つひとつの「味」の背後には、厳しい自然と共に生きる人々の情熱と、誠実な営みが隠されています。
実際に本書を道標として想像の旅を続けていくと、心が洗われるような清々しい充足感に包まれます。情報が溢れ、すべてが効率化される現代において、あえて時間をかけて遠くへ足を運び、そこでしか味わえないものに触れる。その行為の贅沢さと尊さを、著者の温かくも鋭い審美眼は私たちに教えてくれます。紹介されている名店や隠れた名所に共通しているのは、流行に左右されない本物の風格です。それらは、旅という非日常を、一生消えることのない深い記憶へと変えてくれる力を持っています。
この本は、単なる移動のガイドブックではありません。それは、孤独を友とし、自由を愛する大人たちに贈られた、人生を豊かに彩るための「招待状」です。車窓から流れる風景の変化を楽しみ、ふと立ち止まった場所で最高の味に出会う。その一瞬の重なりが、私たちの内側にある感性を呼び覚まし、停滞していた日々に新たな光を灯してくれます。
読み終えたとき、心に残るのは、北の地平線に向かってハンドルを切りたくなるような、抑えがたい情熱です。北の果て、東の果てには、まだあなたが知らない「本当の日本」が待っています。本書を片手に、未知なる旅へと踏み出してみませんか。最後の一頁を閉じたとき、あなたの旅路はもう始まっています。北の大地が奏でる豊かな調べを、ぜひその身で受け止めてください。






























