文化勲章受章の東山魁夷画伯の出世作「残照」のモデルとなった鹿野山九十九谷
鹿野山は、東の白鳥峰(379m)、中央の熊野峰(370m・薬師峰ともいう)、西の春日峰(353m)からなり、清澄山、鋸山と並び房総三山に数えられています。古くから神仏ゆかりの地として知られ、山頂周辺には、歴史的に貴重な白鳥神社や神野寺本堂及び表門があります。
白鳥神社下の九十九谷展望公園からは、高宕山などの上総丘陵が幾重にも連なる山並みの風景を一望できます。それらを総じて「九十九谷」と呼び、大町桂月は「天下の奇観」と激賞しています。
特に、夜明け前から日の出直後と日の入り前の情景は素晴らしく、九十九谷の山並に浮かび上がる雲海が眼下に広がり、その姿はまるで墨絵の世界のようです。また、紅葉の時期には、緑と紅の鮮やかなコントラストから、徐々に山全体が紅に染まっていく様子が楽しめます。
その景観の素晴らしさから、昭和63年には「房総の魅力500選」に、平成19年には「ちば眺望100景」にそれぞれ選定されました。また、文化勲章受章の東山魁夷画伯の出世作「残照」は、この眺望を基に描いた作品です。