スタジオジブリ不朽の名作『海がきこえる』の世界を旅する! 吉田陽子、田中直哉、近藤勝也…豪華スタッフが紡ぐ、青春の記憶と高知の情景。作品のすべてを網羅した、ファン待望のビジュアルコレクション。
1993年、スタジオジブリが若手スタッフを中心に制作し、多くの人々の心に深く刻まれた青春物語『海がきこえる』。高知を舞台に、高校生たちの淡い恋と友情、そして成長を描いたこの作品は、今もなお色褪せることのない輝きを放っています。そんな不朽の名作のすべてを詰め込んだ、ファン待望の一冊が『海がきこえる THE VISUAL COLLECTION』です。
このビジュアルコレクションの最大の魅力は、作品の制作過程を徹底的に掘り下げ、その舞台裏を余すことなく紹介している点にあります。監督を務めた望月智充氏をはじめ、キャラクターデザイン・作画監督の近藤勝也氏、美術監督の田中直哉氏など、主要スタッフへの貴重なインタビューを収録。彼らがこの作品に込めた想い、制作時の苦労話、そして作品に命を吹き込むまでのプロセスが、詳細に語られています。アニメーション制作に興味がある方にとっては、この上ない資料となるでしょう。
そして、この本を語る上で欠かせないのが、圧巻のビジュアル資料です。映画本編のカットはもちろんのこと、作品の雰囲気や登場人物たちの心情を豊かに表現した、美術ボードや背景画を多数掲載。特に、高知の街並みや、物語の舞台となった学校、そして海辺の美しい情景を描いた背景画は、一枚一枚が独立したアート作品のようです。これらの資料をじっくりと眺めることで、映画では気づかなかった細かな描写や、その場の空気感まで感じ取ることができます。
また、キャラクターたちの豊かな表情や仕草が詰まった、近藤勝也氏による原画やイメージボードも、この本の見どころの一つです。松野や杜崎といった登場人物たちが、どのようにして生命を吹き込まれていったのか、その軌跡をたどることができます。特に、思春期特有の繊細な感情が、柔らかなタッチで描かれた原画は、私たちに『海がきこえる』の感動を再び呼び起こさせてくれるでしょう。
『海がきこえる THE VISUAL COLLECTION』は、単なる画集ではありません。それは、作品を愛する人々の情熱と、青春というかけがえのない時間を、大切に保存したタイムカプセルなのです。この一冊を手に取れば、あなたは再び、あの高知の街を訪れ、杜崎拓や松野豊、そして武藤里伽子たちの物語を、新しい視点から体験することができるでしょう。
作品のファンはもちろん、アニメーション制作に興味がある方、そして何より、あの頃の自分の青春を思い出したいすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。